「マンジャロは危険」は本当?厚労省の注意喚起を正しく読み解く
2026/9/7
持病や副作用が気になる方は、使えるかどうかを医師に確認できます。
公式LINEで相談するオンライン完結。友だち追加だけでは費用はかかりません。
「マンジャロは危険」と言われる背景
「マンジャロ 危険」と検索される方が増えています。SNSやインターネット上では「マンジャロで重篤な副作用が出た」「死亡例がある」といった情報が断片的に拡散され、不安を感じている方も少なくありません。
しかし、こうした情報の多くは文脈が省略されていたり、海外の報告が日本の状況と混同されていたりするケースがあります。本記事では、PMDA(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)の添付文書情報および海外の臨床データをもとに、マンジャロの「危険性」を正確に読み解きます。
「危険か安全か」という二項対立で判断するのではなく、どのようなリスクがあり、それをどう管理するかを正しく理解することが欠かせません。
マンジャロとは?基本情報と日本での承認状況
有効成分チルゼパチドの作用機序
マンジャロの有効成分はチルゼパチド(tirzepatide)です。チルゼパチドはGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体とGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)受容体の両方に作用します。この二つの受容体に同時に作用する薬剤は「デュアルアゴニスト」と呼ばれます1。
週1回の皮下注射で投与し、血糖値の改善と体重減少の両方の効果が期待される薬剤として注目を集めています。
日本での承認適応は「2型糖尿病」のみ
日本においてマンジャロは2022年9月にPMDAにより承認されています。ただし、その適応症は2型糖尿病のみです1。
同じ有効成分のチルゼパチドは、ゼップバウンド(Zepbound)という商品名で日本でも肥満症治療薬として承認されています。2025年3月19日に保険適用、同年4月11日に発売され、2026年5月にはOSASの適応も追加されました。ただしゼップバウンドとマンジャロは別製品として承認されているため、両者は区別して扱う必要があります。当院が処方するマンジャロをダイエットや肥満症治療目的で使用する場合は、引き続き適応外使用(自由診療)に該当します1。
この違いは軽視できません。適応外使用の場合、保険が適用されず全額自己負担となるだけでなく、万が一の健康被害が生じた際に医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性があります。
添付文書に記載された副作用・禁忌一覧
マンジャロの「危険性」を正しく理解するには、PMDAが公開している添付文書の情報が最も信頼性の高い一次情報源です。
よくある副作用(消化器症状)
添付文書に記載されている主な副作用は以下のとおりです1。
- 悪心(吐き気):最も頻度の高い副作用のひとつです
- 嘔吐:特に投与開始時や増量時に起こりやすいとされています
- 下痢:消化器症状の一部として報告されています
こうした消化器症状は、GLP-1受容体作動薬全般に共通する副作用です。多くの場合は投与を継続するうちに軽減する傾向がありますが、症状が強い場合は医師への相談が必要です。
重大な副作用(急性膵炎・低血糖)
より注意が必要な重大な副作用として、以下が添付文書に記載されています1。
- 急性膵炎:激しい腹痛が持続する場合は直ちに使用を中止し、医療機関を受診してください
- 低血糖:特にSU薬(スルホニル尿素薬)やインスリンとの併用時にリスクが高まります
- 胆嚢関連事象:胆石症や胆嚢炎などが報告されています
これらの副作用は頻度としては高くありませんが、発現した場合は速やかな対応が求められます。
禁忌に該当する方
以下に該当する方はマンジャロを使用できません1。
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴がある方
- 糖尿病性ケトアシドーシスの方
禁忌に該当する方への処方は、添付文書上も厳格に禁止されています。
読みながら気になったことは、公式LINEからそのままご相談いただけます。
公式LINEで相談するオンライン完結。友だち追加だけでは費用はかかりません。
臨床データから見たマンジャロの安全性プロファイル
FDA有害事象報告が示すリスクシグナル
米国FDA(食品医薬品局)の有害事象報告システム(FAERS)のデータを分析した研究では、チルゼパチドに関して以下の傾向が報告されています。
40,253件の有害事象報告を分析した研究では、チルゼパチドについて二つの傾向が示されています。一つは注射部位反応のシグナルの高さ(PRR 7.98)、もう一つは不適切使用・用量間違いのシグナルの高さ(PRR 5.98)です2。
一方で、チルゼパチドをセマグルチド(オゼンピック)と比較すると、傾向は変わります。不安・うつ・自殺念慮といった精神科系の有害事象シグナルは相対的に低いと報告されています2。
また、FDA医療レビューデータ(34,280例の安全性データ)を用いた別の研究もあります。この研究では、GLP-1/GIP受容体デュアルアゴニスト群の死亡リスク比が0.1と報告されています3。ただし、サンプルサイズの制約もあり、長期的な安全性の確立にはさらなるエビデンスが必要とされています。
脱毛のリスクについて
近年、GLP-1受容体作動薬使用者における脱毛が注目されています。サウジアラビアで実施された254名を対象とした横断研究(自己申告によるアンケート調査)があります。この研究は評価項目ごとに結果が分かれています。まず、脱毛の発生率そのものには薬剤間で統計学的な有意差は認められていません(p=0.116)。一方で、重度の脱毛の割合はマンジャロ使用者で43.4%、サクセンダ使用者で42.9%であり、この2剤は他の薬剤群と比べて有意に多いと報告されています(p<0.001)。また、多変量ロジスティック回帰による脱毛の調整オッズ比は、マンジャロ使用者で他の注射剤の使用者と比べ3.02(p=0.009)でした4。
ただし、この研究は比較的小規模であり、脱毛の多くは非瘢痕性(元に戻る可能性がある)と報告されています。急激な体重減少に伴う栄養状態の変化が原因の一つと考えられていますが、メカニズムの解明にはさらなる研究が必要です4。
ダイエット目的での使用(適応外使用)のリスク
前述のとおり、日本におけるマンジャロの承認適応は2型糖尿病のみです。肥満症・ダイエット目的での使用は適応外使用に該当します1。
適応外使用には以下のリスクが伴います。
- 医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性:承認された適応以外の使用で健康被害が生じた場合、国の救済制度が適用されないことがあります
- 用量・使用法の自己判断リスク:FDA有害事象報告でもチルゼパチドの不適切使用・用量間違いのシグナルが高いことが報告されており2、医師の管理なしでの使用は特に危険です
- 個人輸入のリスク:正規の医療機関を通さずに入手した場合、品質や安全性が保証されません
自由診療でマンジャロを処方するクリニックも増えていますが、適応外使用であることを十分に理解し、必ず医師の管理下で使用することが重要です。
マンジャロを安全に使うためのポイント
マンジャロに限らず、すべての医薬品にはベネフィット(効果)とリスク(副作用)があります。安全に使用するためのポイントをまとめます。
- 必ず医師の処方・管理のもとで使用する:自己判断での用量調整や中止は避けてください
- 禁忌に該当しないことを確認する:既往歴や現在の健康状態を医師に正確に伝えましょう1
- 副作用の初期症状を知っておく:激しい腹痛(膵炎の疑い)、低血糖症状(冷や汗・ふるえ・動悸)があれば速やかに受診してください1
- 注射手技を正しく行う:注射部位反応のリスクを下げるため、医療者から指導を受けた方法を守りましょう2
- 定期的な検査を受ける:血液検査等による安全性モニタリングを継続することが大切です
- 他の薬との併用を自己判断しない:特にSU薬やインスリンとの併用は低血糖リスクが高まります1
よくある質問(FAQ)
Q. マンジャロは本当に危険な薬ですか?
すべての医薬品にはリスクがありますが、マンジャロは日本のPMDAが審査し承認した医薬品です。添付文書に記載された副作用や禁忌を理解し、医師の管理下で適切に使用すれば、リスクは管理可能です。「危険」かどうかは使い方次第であり、正しい情報に基づいた判断が重要です。
Q. マンジャロでダイエットしても大丈夫ですか?
日本ではマンジャロの肥満症への適応は承認されていません1。ダイエット目的の使用は適応外使用(自由診療)となり、保険適用外で全額自己負担です。また、副作用被害救済制度の対象外となる可能性もあります。使用を検討する場合は、必ず医師に相談し、リスクとベネフィットを十分に理解した上で判断してください。
Q. マンジャロの副作用で一番多いのは何ですか?
添付文書によると、悪心(吐き気)・嘔吐・下痢などの消化器症状が最も多く報告されています1。これらはGLP-1受容体作動薬に共通する副作用であり、投与開始時や増量時に起こりやすい傾向があります。多くの場合、時間の経過とともに軽減しますが、症状が続く場合は医師に相談してください。
Q. マンジャロを使ってはいけない人はいますか?
添付文書では、過敏症の既往歴がある方、糖尿病性ケトアシドーシスの方は本剤の禁忌とされています1。そのほか、重度の胃腸障害がある方、妊娠中・授乳中の方なども使用について慎重な判断が必要です。必ず主治医に相談してください。
Q. マンジャロで膵炎になるリスクはありますか?
急性膵炎は添付文書に重大な副作用として記載されています1。発症頻度は高くありませんが、激しい腹痛が持続する場合は膵炎の可能性を考慮し、直ちに使用を中止して医療機関を受診してください。膵炎の既往がある方は事前に医師に伝えることが重要です。
関連記事
免責事項
- 本記事は医療情報の提供を目的としたものであり、特定の治療法を推奨するものではありません。
- 治療に関する判断は必ず主治医にご相談ください。
- 本記事の内容は執筆時点(2026年4月)の情報に基づいています。最新の添付文書・ガイドラインをご確認ください。
- ダイエット目的でのマンジャロ使用は日本では適応外使用に該当します。自己判断での使用は避けてください。
出典
医師に相談してみる
迷っている段階でも大丈夫です。公式LINEでは、診療の流れと料金の案内をお届けしています。
医師に直接相談したい方は:
予約はオンラインで完結。診察の結果、処方に至らないこともあります
マンジャロ(適応外使用)に関する重要事項
ユアクリで扱うマンジャロ(チルゼパチド)を肥満・ダイエット目的で用いる場合の前提です。
- 痩身(肥満・ダイエット)は国内で承認された効能ではありません(適応外使用)
- 個人輸入ではなく、医師の診察にもとづく国内承認品の個別処方でお渡しします
- 国内には肥満症で承認された医薬品(ウゴービ=セマグルチド、ゼップバウンド=チルゼパチド)が別に存在します
- 諸外国の安全性等の情報は、国内承認薬と同水準に整理されていない場合があります
- 適応外使用のため、医薬品副作用被害救済制度の対象外です
- 主な副作用に吐き気・嘔吐・下痢・便秘などの消化器症状があり、低血糖等のリスクもあります。効果や副作用には個人差があり、医師の診察が前提です
参考文献
-
日本イーライリリー株式会社.「マンジャロ皮下注アテオス」電子添文(添付文書). 医薬品医療機器総合機構(PMDA)医療用医薬品情報. https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/2499422G1024_1 (2026年9月23日確認) ↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩
-
Hindi A, Mekkawy M, Shokr H. Psychiatric Adverse Events and Administration Challenges Associated with GLP-1 Receptor Agonists for Weight Loss: A Real-World Analysis. Pharmaceuticals (Basel). 2026;19(3):365. doi:10.3390/ph19030365. PMID: 41901212.(FDA有害事象報告システムの不均衡分析)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41901212/ ↩↩↩↩
-
Prasad A, Arora A, Arora A, Vaid J, Khan A. Exposure-adjusted safety and efficacy of GLP-I and GLP-1/GIP receptor agonists compared with non-GLP-I for weight management and type 2 diabetes: Based on FDA medical and statistical reports of 34 280 safety and 36 312 efficacy subjects. Br J Clin Pharmacol. 2026. doi:10.1002/bcp.70515. PMID: 41902330. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41902330/ ↩
-
Argobi Y, Jadaan NS, Alshalhoob HB, et al. Predictors and Characteristics of Hair Loss Among Users of GLP-1 Receptor Agonists: A Cross-Sectional Analysis. J Cosmet Dermatol. 2026;25(4):e70835. doi:10.1111/jocd.70835. PMID: 41914454.(横断研究・254名の自己申告アンケート)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41914454/ ↩↩