GLP-1ダイエットは安全?副作用・禁忌・正しい受け方を解説

2026/9/7

GLP-1受容体作動薬によるダイエットの安全性を解説。日本での承認状況(ウゴービ・ゼップバウンド)、主な副作用・禁忌、適応外処方の注意点、中止後のリバウンドまで、PMDA・PubMedのエビデンスに基づいてまとめています。


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GLP-1受容体作動薬とは?ダイエットに使われる理由

GLP-1受容体作動薬は、もともと2型糖尿病の治療薬として開発された薬剤群です。体内で分泌されるGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)というホルモンと同様の作用を持ち、食欲の抑制や血糖値の調節に関わります。

近年、肥満症の治療薬としても注目されており、日本ではウゴービ皮下注(セマグルチド)とゼップバウンド皮下注アテオス(チルゼパチド)が、肥満症を効能・効果として承認されています。ウゴービは2023年3月27日に製造販売承認を取得し、2023年11月22日に薬価収載されました1。ゼップバウンドは2024年12月27日に承認、2025年3月19日に薬価収載されています8。

ただし、GLP-1受容体作動薬のすべてが「ダイエット目的」で使えるわけではありません。日本での承認状況を正しく理解することが、安全に治療を受けるための第一歩です。

日本での承認状況と保険適用

日本におけるGLP-1受容体作動薬の承認状況は、薬剤ごとに大きく異なります。

薬剤名 承認適応(日本) 保険適用
ウゴービ皮下注(セマグルチド) 肥満症/肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH) 条件を満たせば保険適用
ゼップバウンド皮下注アテオス(チルゼパチド) 肥満症/中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS) 条件を満たせば保険適用
マンジャロ皮下注アテオス(チルゼパチド) 2型糖尿病のみ 体重減少目的は適応外
オゼンピック皮下注(セマグルチド) 2型糖尿病のみ 肥満症目的は適応外
ビクトーザ皮下注(リラグルチド) 2型糖尿病のみ 肥満症目的は適応外

ウゴービ皮下注は、高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られない方のうち、BMI 27以上で肥満に関連する健康障害を2つ以上有する場合、またはBMI 35以上の場合に処方されます。2026年6月19日には、肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)の効能・効果が追加されています1。

ゼップバウンド皮下注アテオス(チルゼパチド)も、日本で肥満症の効能・効果を取得しています8。2026年5月18日には中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の適応が追加され、あわせて肥満症の対象が「耐糖能障害(2型糖尿病、耐糖能異常等)を有する場合」へ広がりました9。

マンジャロ皮下注アテオス(チルゼパチド)は、日本では2型糖尿病の治療薬として2022年9月26日に承認された医薬品であり、肥満症の適応は取得していません10。ゼップバウンドと同じ有効成分ですが、日本ではそれぞれ別の製品として別個に承認されています。ゼップバウンドが肥満症の適応を持つことは、マンジャロを体重減少目的で用いることが承認された使い方であることを意味しません。マンジャロを体重減少目的で使用する場合は適応外使用となり、公的医療保険は適用されず自由診療となります。

一方、オゼンピック皮下注は日本では2型糖尿病のみが承認適応であり、肥満症への使用は適応外です。肥満症にはウゴービ皮下注とゼップバウンド皮下注アテオスが別途承認されています3。

ビクトーザ皮下注(リラグルチド)も日本では2型糖尿病のみの承認です。海外ではサクセンダ(リラグルチド3.0mg)が肥満症治療薬として承認されていますが、日本ではサクセンダは未承認です。ビクトーザを肥満症目的に使用する場合は適応外使用(自由診療)に該当します2。

重要: SNSなどで「オゼンピック」「マンジャロ」を使ったダイエットが話題になっています。しかし、日本の承認状況を正しく理解し、適応外使用のリスクを把握したうえで、必ず医師に相談してください。

主な副作用と安全性

GLP-1受容体作動薬には、知っておくべき副作用がいくつかあります。

よくある副作用

ウゴービ皮下注の添付文書によると、主な副作用として以下が報告されています1:

  • 消化器症状: 悪心(吐き気)・嘔吐・下痢(特に投与初期に多い)
  • 低血糖: 糖尿病治療薬との併用時に注意
  • 急性膵炎: 重大な副作用として報告
  • 胆嚢関連事象: 胆石症・胆嚢炎

消化器症状への対処法

消化器症状は投与初期に多く見られますが、用量を段階的に増やすことで軽減できる場合があります。症状が強い場合は、医師に相談して用量調整を行うことが重要です1。

筋肉量の減少を防ぐには

海外の文献レビューでは、GLP-1受容体作動薬による体重減少には、脂肪量だけでなく骨格筋を含む除脂肪体重の減少が伴うことが報告されています。サルコペニア(筋肉量の低下)やフレイル(虚弱)への懸念も指摘されています5。

対策として以下が推奨されています:

  • レジスタンストレーニング(筋力トレーニング)の実施
  • タンパク質摂取の最適化

特に高齢の方やもともと筋肉量が少ない方は注意が必要です。

その他の報告されている副作用

  • 脱毛: 254名の横断研究では、女性に脱毛がより多く報告されています。ただし、通常は非瘢痕性で可逆的(元に戻る)とされています6。(※エビデンス限定的)
  • 稀な重篤副作用: セマグルチドの使用に関連した小腸閉塞と急性腎障害の症例報告があります。用量増加直後に発症したケースが報告されており、用量調整時の注意が必要です7。(※エビデンス限定的)

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処方できない方(禁忌)

以下に該当する方には、ウゴービ皮下注は処方できません1:

  • 甲状腺髄様癌の既往歴または家族歴がある方
  • 多発性内分泌腫瘍症2型の方
  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴がある方
  • 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡・前昏睡の方
  • 重度の胃不全麻痺等の重篤な胃腸障害のある方

処方を受ける前に、既往歴・家族歴を含めて医師に正確に伝えることが不可欠です。

中止後のリバウンドと長期的な考え方

GLP-1受容体作動薬は、服用を中止した後の体重管理も重要なテーマです。

海外の臨床試験(STEP 4試験、SURMOUNT 4試験)では、投薬中止後1年以内に急速な体重の再増加と心代謝ベネフィットの低下が一貫して観察されています4。

ただし、これは「治療の失敗」ではありません。肥満が慢性・再発性の疾患であることの表れだと、現在は考えられています。中止後にはサルコペニア性肥満(脂肪が優先的に回復し、筋肉は戻りにくい状態)にも留意が必要です4。

そのため、GLP-1受容体作動薬による治療を検討する際は、「薬を使っている期間だけ」で完結させるべきではありません。食事療法・運動療法を含めた長期的な体重管理計画を、医師と一緒に立てることが大切です。

安全にGLP-1ダイエットを受けるためのポイント

GLP-1受容体作動薬を安全に使用するために、以下のポイントを押さえておきましょう。

  1. 必ず医師の診察を受ける: 自己判断での使用は避け、禁忌事項の確認を含めた診察を受けてください
  2. 承認薬と適応外使用を区別する: 日本で肥満症を効能・効果として承認されているのはウゴービ皮下注とゼップバウンド皮下注アテオスです。マンジャロやオゼンピックなど、それ以外の薬剤を体重減少目的で使用する場合は適応外使用(自由診療)となります
  3. 定期的なフォローアップ: 副作用の早期発見と用量調整のため、定期的な受診が重要です
  4. 正規ルートで入手する: 個人輸入や非正規ルートでの入手は、偽造品リスクを含む重大な健康被害の可能性があります7
  5. 運動・食事も並行する: 薬だけに頼らず、レジスタンストレーニングやタンパク質摂取の最適化も行いましょう5

まとめ

GLP-1受容体作動薬は、適切な医療管理のもとで使用すれば、肥満症治療の有効な選択肢の一つです。

ただし、以下の点を正しく理解することが安全な治療の前提となります:

  • 日本で肥満症を効能・効果として承認されているのはウゴービ皮下注とゼップバウンド皮下注アテオスであり、マンジャロ・オゼンピック・ビクトーザは2型糖尿病のみの承認です
  • 副作用(消化器症状・膵炎・筋肉量減少等)と禁忌を把握したうえで治療を開始する必要があります
  • 中止後のリバウンドリスクを踏まえ、長期的な管理計画を医師と立てることが重要です

「安全にダイエットしたい」という方こそ、まずは医師に相談し、ご自身の状態に合った治療法を選んでいただければと思います。


よくある質問(FAQ)

Q. GLP-1ダイエットは本当に安全ですか?

日本で肥満症を効能・効果として承認されているのは、ウゴービ皮下注とゼップバウンド皮下注アテオスです18。いずれも医師の管理のもとで、用量を段階的に増やしながら使用することが前提となります。ただし副作用や禁忌があり、すべての方に使用できる薬剤ではありません。必ず医師の診察を受けてから判断してください1。

Q. GLP-1の薬をやめたらリバウンドしますか?

海外の臨床試験では、投薬中止後1年以内に体重が再増加する傾向が報告されています。肥満は慢性疾患であり、中止後も食事・運動療法を含む継続的な管理が重要です4。

Q. オゼンピックやマンジャロをダイエット目的で使うのは安全ですか?

オゼンピック(セマグルチド)もマンジャロ(チルゼパチド)も、日本では2型糖尿病のみが承認適応であり、体重減少を目的とした使用は適応外使用(自由診療)となります310。日本で肥満症を効能・効果として承認されているのは、ウゴービ皮下注とゼップバウンド皮下注アテオスです。適応外使用にはリスクが伴うため、必ず医師に相談してください。

Q. GLP-1ダイエットで筋肉が落ちると聞きましたが本当ですか?

体重減少に伴い除脂肪体重の減少も報告されています。レジスタンストレーニングやタンパク質摂取の最適化が筋肉量の維持に推奨されています5。

Q. GLP-1受容体作動薬の保険適用の条件は?

ウゴービ皮下注は、高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法で十分な効果が得られない方のうち、BMI 27以上で肥満に関連する健康障害を2つ以上有する場合、またはBMI 35以上の場合が対象です1。ゼップバウンド皮下注アテオスも肥満症の適応を持ち、2025年3月19日に薬価収載されています8。2026年5月18日には、その対象が耐糖能障害(2型糖尿病、耐糖能異常等)を有する場合へ広がりました9。いずれも条件を満たさない場合は自由診療となります。


免責事項

  • ※この記事は医療情報の提供を目的としたものであり、特定の治療法を推奨するものではありません。治療の判断は必ず医師にご相談ください。
  • ※記事の内容は公開時点のものであり、承認状況・保険適用は変更される場合があります。最新情報はPMDA等の公式情報をご確認ください。
  • ※GLP-1受容体作動薬のダイエット目的での使用は、薬剤・用量によっては適応外使用に該当する場合があります。

出典

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マンジャロ(適応外使用)に関する重要事項

ユアクリで扱うマンジャロ(チルゼパチド)を肥満・ダイエット目的で用いる場合の前提です。

  • 痩身(肥満・ダイエット)は国内で承認された効能ではありません(適応外使用)
  • 個人輸入ではなく、医師の診察にもとづく国内承認品の個別処方でお渡しします
  • 国内には肥満症で承認された医薬品(ウゴービ=セマグルチド、ゼップバウンド=チルゼパチド)が別に存在します
  • 諸外国の安全性等の情報は、国内承認薬と同水準に整理されていない場合があります
  • 適応外使用のため、医薬品副作用被害救済制度の対象外です
  • 主な副作用に吐き気・嘔吐・下痢・便秘などの消化器症状があり、低血糖等のリスクもあります。効果や副作用には個人差があり、医師の診察が前提です

参考文献


  1. ウゴービ皮下注(セマグルチド(遺伝子組換え))添付文書・承認情報 — PMDA https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/2499418G5023_1 ↩↩↩↩↩↩↩↩

  2. ビクトーザ皮下注(リラグルチド(遺伝子組換え))添付文書・承認情報 — PMDA https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/2499410G1021_1 ↩

  3. オゼンピック皮下注(セマグルチド(遺伝子組換え))添付文書・承認情報 — PMDA https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/2499418G4027_1 ↩↩

  4. Weight Regain After GLP-1-Based Therapy Discontinuation — PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41909366/ ↩↩↩

  5. Fat, muscle, and anti-obesity medications in cardiovascular disease prevention — PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41914150/ ↩↩↩

  6. Predictors and Characteristics of Hair Loss Among Users of GLP-1 Receptor Agonists — PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41914454/ ↩

  7. A Rare Case of Semaglutide-Associated Small Bowel Obstruction — PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41913883/ ↩↩

  8. ゼップバウンド皮下注アテオス(チルゼパチド)の製造販売承認・薬価収載・発売に関するニュースリリース — 製造販売元公式 https://www.tanabe-pharma.com/ja/news/MTPC250319.html ↩↩↩↩

  9. ゼップバウンド皮下注アテオス 効能・効果の追加(中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群、および肥満症の対象拡大)に関するニュースリリース — 製造販売元公式 https://www.tanabe-pharma.com/ja/news/rel_260601_2.html ↩↩

  10. マンジャロ皮下注アテオス(チルゼパチド)添付文書・承認情報 — KEGG MEDICUS https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00070640 ↩↩

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