マンジャロの副作用一覧|吐き気・下痢・膵炎のリスクと対処法
2026/9/7
マンジャロ(チルゼパチド)の副作用を網羅的に解説します。吐き気・下痢・嘔吐などの消化器症状の頻度と対処法、急性膵炎・胆嚢炎などの重篤な副作用、禁忌事項、受診すべきタイミングまで、PMDA添付文書とPubMedのエビデンスに基づく情報です。
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マンジャロ(チルゼパチド)とは|基本情報
マンジャロ(一般名:チルゼパチド)は、GLP-1受容体とGIP受容体の両方に作用する「デュアルアゴニスト」と呼ばれる注射薬です。週1回の皮下注射で投与します1。
日本での承認適応は2型糖尿病のみです。2022年9月にPMDAより製造販売承認を取得しました1。同じ成分のチルゼパチドは「ゼップバウンド」という別製品として日本でも肥満症治療薬の承認を受けています(2025年3月19日保険適用・4月11日発売、2026年5月にOSAS適応追加)。
当院で処方するマンジャロを肥満症・ダイエット目的で使用する場合は適応外使用(自由診療・全額自己負担)に該当します。マンジャロとゼップバウンドは有効成分は同じでも別製品として承認されているため、この扱いは変わりません1。
副作用を正しく理解し、安全に使用するための情報を以下にまとめます。
マンジャロの副作用一覧|添付文書に基づく情報
マンジャロの添付文書(PMDA)には、以下の副作用が記載されています1。
| カテゴリ | 主な副作用 |
|---|---|
| 消化器症状 | 悪心(吐き気)、嘔吐、下痢、便秘、腹痛 |
| 代謝関連 | 低血糖(SU薬・インスリン併用時) |
| 膵臓関連 | 急性膵炎 |
| 胆嚢関連 | 胆石症、胆嚢炎 |
| その他 | 注射部位反応 |
以下、各副作用について詳しく解説します。
消化器症状(悪心・嘔吐・下痢・便秘)
消化器症状はマンジャロで最も多く報告されている副作用です1。
127のランダム化比較試験(RCT)に基づくネットワークメタアナリシスでは、チルゼパチドの悪心・嘔吐はプラセボと比較してRR(リスク比)3.64(95%CI: 2.40-5.52)と報告されています。高用量ほど消化器系副作用の頻度が高まる傾向も示されています2。
消化器症状の特徴は以下の通りです。
- 発現時期: 投与初期および増量時に出やすい
- 経過: 多くの場合、数日から数週間で軽減する
- 用量依存性: 高用量ほど発現頻度が高い傾向がある
低血糖
低血糖は、特にSU薬(スルホニルウレア薬)やインスリンとの併用時に注意が必要です1。
マンジャロ単独では低血糖のリスクは比較的低いとされていますが、血糖降下作用のある他の薬剤と併用している場合は、低血糖の発現に十分注意する必要があります。
低血糖の症状には、冷汗、動悸、手指の震え、強い空腹感、めまいなどがあります。
急性膵炎
急性膵炎は添付文書に重大な副作用として記載されています1。
頻度としては稀ですが、発症した場合は重篤な経過をたどる可能性があります。イタリアのリアルワールドデータ(n=70)では、チルゼパチド5.0mg投与時にアミラーゼの有意な上昇(p=0.016)が認められましたが、リパーゼは変化なしと報告されています3。(※エビデンス限定的)
以下の症状が出た場合は膵炎の可能性を考慮してください。
- 激しい上腹部痛(持続性、背部への放散)
- 嘔吐を伴う腹痛
- 腹部の圧痛
胆嚢関連事象(胆石症・胆嚢炎)
胆石症・胆嚢炎も、添付文書に記載のある副作用の一つです1。
急激な体重減少は胆石形成のリスク因子として知られています。右上腹部の痛みや発熱がある場合は、胆嚢関連の問題を疑い、速やかに受診してください。
副作用の頻度|臨床試験・メタアナリシスのデータ
副作用の頻度について、複数の研究から得られたデータを整理します。
ネットワークメタアナリシス(127のRCT)
127のRCTを統合したネットワークメタアナリシスでは、チルゼパチドの悪心・嘔吐のリスク比は以下の通りです2。
- 悪心・嘔吐: プラセボ対比 RR 3.64(95%CI: 2.40-5.52)
- 高用量ほど体重減少効果は大きいが、消化器系副作用も増加する傾向
1型糖尿病患者での併用療法データ
1型糖尿病患者を対象にチルゼパチドの併用療法を検討したメタアナリシス(6研究、248名)では、最も多い有害事象は消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振)でした。ただし、重大な安全性の懸念は報告されていません4。
リアルワールドデータ
イタリアの多施設リアルワールドデータ(n=70、非糖尿病の肥満患者)では、チルゼパチド2.5mgおよび5.0mgにおける消化器系有害事象は軽度でした。用量間で差は認められていません3。(※エビデンス限定的)
注意: 上記の臨床試験データは主に海外のものであり、日本人集団での副作用頻度とは異なる可能性があります。
注意が必要なその他の副作用
添付文書に記載された副作用以外にも、海外の研究やデータベース解析で報告されている事象があります。
注射部位反応
米国FDAの有害事象報告データベース(FAERS)の解析(40,253件)では、チルゼパチドの注射部位反応はPRR(比例報告比)7.98(95%CI: 7.8-8.18)でした。他のGLP-1受容体作動薬と比較して高い傾向が報告されています5。(※エビデンス限定的)
注射部位の発赤、腫れ、かゆみなどが見られた場合は、注射部位をローテーションすることが推奨されます。
脱毛(抜け毛)
サウジアラビアで、GLP-1受容体作動薬の使用者254名を対象に行われた横断研究(自己申告によるアンケート調査)があります。この研究は評価項目ごとに結果が分かれているため、指標を区別して読む必要があります6。(※エビデンス限定的)
- 脱毛の発生率そのもの: 薬剤間で統計学的な有意差は認められていません(p=0.116)
- 重度の脱毛の割合: マンジャロ使用者で43.4%、サクセンダ使用者で42.9%でした。この2剤は他の薬剤群と比べて有意に多いと報告されています(p<0.001)
- 脱毛の調整オッズ比: 多変量ロジスティック回帰において、マンジャロ使用者は他の注射剤の使用者と比べ3.02(p=0.009)と報告されています
ただし、以下の点に注意が必要です。
- 横断研究であり、因果関係は証明されていない
- サンプルサイズが限定的(254名)であり、日本人データではない
- 脱毛は通常非瘢痕性で可逆的とされている
- 急激な体重減少に伴う栄養不足が一因と考えられている
ケトアシドーシス(飢餓性・糖尿病性)
チルゼパチド使用に関連するケトアシドーシスの症例が日本から報告されています。
正常血糖糖尿病性ケトアシドーシス(EDKA): チルゼパチド使用患者の14%が食欲喪失を経験することが報告されています。SGLT-2阻害薬との併用下でシックデイ時にEDKAを発症した症例もあり、回復後は両薬剤の再導入に成功しています7。(※エビデンス限定的)
飢餓性ケトアシドーシス: 非糖尿病の21歳日本人女性が、チルゼパチド2.5mg使用と糖質制限を併用していました。5回目の注射後、持続する悪心・嘔吐から摂取カロリーが著しく低下し、飢餓性ケトアシドーシスを発症しました。短期間で急激な体重減少が生じており、ブドウ糖輸液により12時間以内に代謝性アシドーシスは改善しています8。(※エビデンス限定的)
これらの症例は、極端な食事制限とマンジャロの併用が危険であることを示唆しています。
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副作用への対処法と軽減のポイント
マンジャロの副作用、特に消化器症状を軽減するためのポイントを整理します。
段階的な増量を守る
マンジャロは2.5mgから開始し、4週間以上の間隔で段階的に増量することが推奨されています1。急激な増量は消化器症状の悪化につながる可能性があるため、医師の指示に従った増量スケジュールを守ることが重要です。
食事の工夫
- 少量頻回の食事: 1回の食事量を減らし、回数を増やす
- 脂質の多い食事を控える: 高脂肪食は消化器症状を悪化させる可能性がある
- 食後すぐに横にならない: 悪心の軽減に有効
- ゆっくり食べる: よく噛んで食べることで消化を助ける
水分摂取
嘔吐や下痢がある場合は脱水に注意が必要です。こまめに少量ずつ水分を摂取してください。
医師への相談
以下のような場合は、担当医に相談して用量調整を検討してください。
- 消化器症状が2週間以上続く場合
- 食事が十分に摂れない状態が続く場合
- 日常生活に支障をきたす程度の症状がある場合
禁忌(マンジャロを使えない方)
以下に該当する方には、マンジャロは処方できません1。
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴がある方
- 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡・前昏睡の方
また、以下の方は慎重投与(医師の判断のもとで使用)が必要です。
- 膵炎の既往歴がある方
- 重度の胃腸障害がある方
- 胆石症の既往歴がある方
処方を受ける前に、既往歴・現在服用中の薬剤を含めて、医師に正確にお伝えください。
こんな症状が出たらすぐに受診を
以下の症状が出た場合は、マンジャロの重篤な副作用の可能性があります。自己判断で様子を見ず、速やかに医療機関を受診してください。
| 症状 | 疑われる副作用 |
|---|---|
| 激しい上腹部痛(持続性、背部放散) | 急性膵炎 |
| 嘔吐が止まらない、水分も摂れない | 脱水・ケトアシドーシス |
| 右上腹部痛+発熱 | 胆嚢炎 |
| 全身の蕁麻疹、呼吸困難、顔面浮腫 | アナフィラキシー |
| 冷汗、動悸、意識がもうろうとする | 重度の低血糖 |
| 短期間での急激な体重減少 | 飢餓性ケトアシドーシスのリスク8 |
特にダイエット目的(適応外使用)でマンジャロを使用している方は、極端な食事制限との併用により飢餓性ケトアシドーシスのリスクが高まることが報告されています8。体調の変化には十分ご注意ください。
よくある質問(FAQ)
Q. マンジャロの吐き気はいつ頃おさまりますか?
消化器症状は投与初期や増量時に出やすく、多くの場合は数日から数週間で軽減します。段階的な増量により副作用を最小限に抑えることが推奨されています1。症状が長期間続く場合は担当医にご相談ください。
Q. 副作用が出たらマンジャロを中止すべきですか?
軽度の消化器症状であれば、自己判断で中止せず担当医にご相談ください。増量ペースの調整や対症療法で改善できる場合があります。ただし、激しい腹痛や持続する嘔吐、アレルギー症状が出た場合は速やかに受診してください1。
Q. 吐き気を軽くするコツはありますか?
食事を少量ずつ分けて摂る、脂っこい食事を控える、食後すぐに横にならない、こまめに水分を補給するなどの工夫が一般的に推奨されています。担当医と相談し、増量のタイミングを調整することも有効です。
Q. マンジャロで膵炎になるリスクはどのくらいですか?
急性膵炎は添付文書に重大な副作用として記載されていますが、頻度としては稀です1。激しい上腹部痛が持続する場合は膵炎の可能性があるため、直ちに医療機関を受診してください。
Q. マンジャロで脱毛することはありますか?
海外の横断研究(254名)でGLP-1受容体作動薬使用者における脱毛の報告がありますが、通常は非瘢痕性で可逆的とされています6。急激な体重減少に伴う栄養不足が一因と考えられており、バランスの良い食事と十分なタンパク質摂取が重要です。(※エビデンス限定的)
まとめ
マンジャロ(チルゼパチド)の副作用について、要点を整理します。
- 最も多い副作用は消化器症状(悪心・嘔吐・下痢)であり、投与初期・増量時に出やすい
- 重大な副作用として急性膵炎、胆嚢関連事象が添付文書に記載されている1
- 副作用の多くは段階的な増量と食事の工夫で軽減できる可能性がある
- 禁忌に該当する方(過敏症の既往、糖尿病性ケトアシドーシス)には使用できない1
- 極端な食事制限との併用はケトアシドーシスのリスクを高める可能性がある8
- 日本での承認適応は2型糖尿病のみであり、ダイエット目的は適応外使用1
副作用が心配な方も、医師と十分に相談しながら適切な用量調整を行うことで、安全に治療を進められる場合があります。気になる症状がある場合は、自己判断せず速やかに担当医にご相談ください。
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免責事項
- ※この記事は医療情報の提供を目的としたものであり、特定の治療法を推奨するものではありません。治療の判断は必ず医師にご相談ください。
- ※マンジャロ(チルゼパチド)は日本では2型糖尿病のみが承認適応です。肥満症・ダイエット目的での使用は適応外使用(自由診療)に該当します。
- ※記事内の臨床データには海外の試験結果が含まれており、日本人での結果とは異なる可能性があります。
- ※個人の体質や健康状態により、副作用の発現・程度には個人差があります。
- ※記事の内容は公開時点のものであり、承認状況・添付文書情報は変更される場合があります。最新情報はPMDA等の公式情報をご確認ください。
出典
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マンジャロ(適応外使用)に関する重要事項
ユアクリで扱うマンジャロ(チルゼパチド)を肥満・ダイエット目的で用いる場合の前提です。
- 痩身(肥満・ダイエット)は国内で承認された効能ではありません(適応外使用)
- 個人輸入ではなく、医師の診察にもとづく国内承認品の個別処方でお渡しします
- 国内には肥満症で承認された医薬品(ウゴービ=セマグルチド、ゼップバウンド=チルゼパチド)が別に存在します
- 諸外国の安全性等の情報は、国内承認薬と同水準に整理されていない場合があります
- 適応外使用のため、医薬品副作用被害救済制度の対象外です
- 主な副作用に吐き気・嘔吐・下痢・便秘などの消化器症状があり、低血糖等のリスクもあります。効果や副作用には個人差があり、医師の診察が前提です
参考文献
-
マンジャロ皮下注アテオス(チルゼパチド)添付文書・承認情報 — PMDA https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/2499422G1024_1 ↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩
-
GLP-1 Receptor/Dual Agonists for Weight Loss: A Systematic Review and Network Meta-Analysis of RCTs — PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41872986/ ↩↩
-
Real-world data of tirzepatide in obesity management: a multicenter study by the Italian Society of Obesity — PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41768862/ ↩↩
-
Tirzepatide as adjunct therapy in patients with type 1 diabetes: a systematic review and meta-analysis — PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41883513/ ↩
-
Psychiatric Adverse Events and Administration Challenges Associated with GLP-1 Receptor Agonists for Weight Loss: A Real-World Analysis — PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41901212/ ↩
-
Predictors and Characteristics of Hair Loss Among Users of GLP-1 Receptor Agonists: A Cross-Sectional Analysis — PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41914454/ ↩↩
-
Euglycemic diabetic ketoacidosis following treatment with tirzepatide and SGLT-2 inhibitors: A case report and literature review — PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41850834/ ↩
-
Starvation ketoacidosis associated with tirzepatide use for weight loss in a non-diabetic East Asian woman: a case report — PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41840480/ ↩↩↩↩