肥満症治療薬の比較一覧|GLP-1・SGLT2・漢方の違い
2026/9/7
肥満症の治療を検討する際、どのような薬があるのか、それぞれの違いを知りたいと感じる方は少なくありません。この記事では、日本で使用されている肥満症治療薬の種類と特徴を、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の承認情報に基づいて一覧で比較します。
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肥満症治療薬とは|薬物治療の位置づけ
治療の基本となるのは、食事療法と運動療法による生活習慣の改善です。薬物治療は、これらを十分に行っても効果が得られない場合に検討される補助的な手段として位置づけられています。
日本で肥満症に対して保険適用のある薬剤は限られており、それぞれ適応条件や作用機序が異なります。また、2型糖尿病治療薬の一部には体重減少効果があり、自由診療として肥満目的に使用されるケースもありますが、適応外使用に該当する点に注意が必要です。
肥満症治療薬の比較一覧表
以下に、日本で肥満症治療に関連する主な薬剤を比較します。
| 項目 | マジンドール(サノレックス) | ウゴービ(セマグルチド)/ゼップバウンド(チルゼパチド) | セチリスタット(オブリーン) | SGLT2阻害薬 | 漢方薬(防風通聖散等) |
|---|---|---|---|---|---|
| 分類 | 中枢性食欲抑制薬 | GLP-1受容体作動薬/GIP・GLP-1受容体作動薬 | 膵リパーゼ阻害薬 | SGLT2阻害薬 | 漢方製剤 |
| 作用機序 | 食欲中枢を抑制 | 食欲抑制・胃排出遅延 | 脂肪吸収を抑制 | 尿糖排泄を促進 | 体質改善(証に応じる) |
| 投与方法 | 経口(1日1回) | 皮下注射(週1回) | 経口(1日3回・食直前) | 経口(1日1回) | 経口(1日2-3回) |
| 肥満症の保険適用 | あり(BMI 35以上) | あり(条件付き) | あり(2型糖尿病合併) | なし | あり(証に応じて) |
| 投与期間制限 | 原則3か月以内 | 医師判断で継続 | 制限なし | ― | 制限なし |
| 主な副作用 | 口渇、便秘、不眠 | 悪心、嘔吐、下痢 | 脂肪便、軟便 | 尿路感染、脱水 | 動悸、偽アルドステロン症 |
※各薬剤の詳細な適応条件・副作用は添付文書をご確認ください。
薬剤カテゴリーの選び方
肥満症治療薬は、大きく以下の5つのカテゴリーに分けられます。患者さんの体格(BMI)、合併症の有無、体質によって適した薬剤が異なるため、医師と相談のうえ選択することが重要です。
GLP-1受容体作動薬|ウゴービ・オゼンピック・サクセンダ
GLP-1受容体作動薬は、体内のGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)と同様の作用を持つ薬剤です。食欲抑制や胃の排出遅延により、体重減少効果が認められています。
ウゴービ(セマグルチド)
日本で肥満症を効能・効果として承認されているGLP-1関連薬の一つです。2023年3月27日に製造販売承認を取得し、2023年11月22日に薬価収載、2024年2月22日に発売されました。週1回の皮下注射で投与します。なお、チルゼパチド製剤のゼップバウンド(マンジャロと同一成分の別製品)も2024年12月27日に肥満症治療薬として承認され、2025年3月19日に薬価収載・2025年4月11日に発売されています。現在、日本で肥満症の適応を持つGLP-1関連薬はウゴービとゼップバウンドの2剤です。
保険適用の条件は以下のとおりです。
- BMI 27以上かつ、高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかを合併
- またはBMI 35以上
承認された効能・効果は追加されることがあります。ウゴービは2026年6月19日に、肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH。中等度又は高度の線維化を有する場合に限る)の適応を追加で取得しており、効能・効果は肥満症だけではありません。ゼップバウンドは2026年5月18日に中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(BMIが27以上に該当する場合に限る)の適応が追加され、あわせて肥満症の対象が耐糖能障害(2型糖尿病、耐糖能異常等)を有する場合へ広がりました。
主な副作用として、悪心、嘔吐、下痢、便秘などの消化器症状が報告されています。甲状腺髄様癌の家族歴がある方は禁忌とされています。
オゼンピック・マンジャロなど(肥満症は適応外)
オゼンピック(セマグルチド)やマンジャロ(チルゼパチド)は、2型糖尿病治療薬として日本で承認されています。同じ有効成分の別製品(セマグルチドのウゴービ、チルゼパチドのゼップバウンド)は、肥満症治療薬として日本でも承認されています。ただし、オゼンピック・マンジャロ自体はそれとは別製品であるため、肥満症への使用は引き続き適応外となります。
マンジャロ(チルゼパチド)は、GLP-1受容体だけでなくGIP受容体にも作用するデュアルアゴニストである点が特徴です。
なお、オンラインクリニック等でこれらの薬剤が肥満目的で処方される場合、自由診療(保険適用外)に該当します。適応外使用の場合、副作用被害救済制度の対象外となる可能性があるため、十分な説明を受けたうえで検討してください。
サクセンダ(リラグルチド3.0mg)
海外では肥満症治療薬として承認されているサクセンダですが、日本では未承認です。日本で使用される場合は個人輸入または自由診療に該当し、保険適用外となります。
中枢性食欲抑制薬|マジンドール(サノレックス)
脳の食欲中枢に作用して食欲を抑制するのが、マジンドール(サノレックス)です。日本ではBMI 35以上の高度肥満症(食事療法・運動療法の補助)に対して保険適用があります。
使用上の注意点
- 投与期間は原則3か月以内に制限されています
- 向精神薬(第三種)に指定されており、依存性のリスクがあります
- 主な副作用:口渇、便秘、不眠、動悸など
- 処方は厳格に管理されています
長期使用に制限があるため、短期間で効果を評価し、他の治療法と組み合わせて使用されることが一般的です。
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膵リパーゼ阻害薬|セチリスタット(オブリーン)
2013年に日本で承認されたセチリスタット(オブリーン)は、消化管内で膵リパーゼの働きを阻害し、食事中の脂肪の吸収を抑制する薬剤です。
適応と特徴
- 適応:肥満症における2型糖尿病の改善(2型糖尿病を合併している肥満症患者が対象)
- 食事中の脂肪約30%の吸収を抑制するとされています
- 主な副作用:脂肪便、軟便
- 脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収が低下する可能性があります
海外ではオルリスタット(ゼニカル)が同系統の先行薬として知られていますが、日本ではセチリスタットが承認されています。
SGLT2阻害薬|肥満症への適応外使用
腎臓での糖の再吸収を阻害し、尿中に糖を排泄させることで血糖値を下げる薬剤が、SGLT2阻害薬(ダパグリフロジン、エンパグリフロジンなど)です。
この糖排泄に伴い、1日あたり約200-300kcal相当のエネルギーが尿中に失われるため、副次的に体重減少が認められることがあります。
ただし、日本ではSGLT2阻害薬の肥満症に対する承認はありません。2型糖尿病、慢性心不全、慢性腎臓病などの適応で承認されており、肥満症目的での使用は適応外となります。
主な副作用として、尿路感染症、性器感染症、脱水、まれにケトアシドーシスが報告されています。
漢方薬|防風通聖散・防已黄耆湯
漢方薬は、日本の医療制度において保険適用の漢方製剤として処方可能な治療選択肢です。肥満に関連する体質改善を目的として使用されます。
主な漢方薬と体質の目安
| 漢方薬 | 向いている体質の傾向 | 主な作用 |
|---|---|---|
| 防風通聖散 | 体力があり、便秘がち、皮下脂肪が多い | 発汗・利尿・便通改善 |
| 防已黄耆湯 | 体力が中程度以下、むくみやすい、水太り | 利水・むくみ改善 |
| 大柴胡湯 | 体力があり、ストレスで過食しがち | 肝機能改善・便通改善 |
※漢方薬の選択は「証」(体質・症状)に基づいて行われます。
注意点:漢方薬の肥満に対する体重減少効果については、大規模RCT(ランダム化比較試験)によるエビデンスは限定的です。防風通聖散に含まれる麻黄や甘草による副作用(動悸、偽アルドステロン症など)にも注意が必要です。
保険適用と自由診療の違い
肥満症治療薬を選ぶ際に重要なのが、保険適用の有無です。
保険適用となる薬剤
| 薬剤 | 保険適用の条件 |
|---|---|
| マジンドール(サノレックス) | BMI 35以上 |
| ウゴービ(セマグルチド) | BMI 27以上+合併症、またはBMI 35以上 |
| ゼップバウンド(チルゼパチド) | 肥満症(2024年12月承認・2025年3月薬価収載。マンジャロとは別製品) |
| セチリスタット(オブリーン) | 肥満症+2型糖尿病 |
| 漢方薬 | 証に応じて(保険適用の漢方製剤) |
自由診療で使用される薬剤
オゼンピック、マンジャロ、サクセンダなどを肥満目的で使用する場合は自由診療となります。以下の点にご注意ください。
- 費用は全額自己負担となります
- 副作用被害救済制度の対象外となる可能性があります
- 薬剤の安全性情報が十分でない場合があります
自由診療を検討する際は、リスクと費用について医師から十分な説明を受けたうえで判断してください。
よくある質問(FAQ)
Q. 肥満症治療薬は市販で買えますか?
日本で承認されている肥満症関連の治療薬(ウゴービ、ゼップバウンド、サノレックス、オブリーン)はすべて医療用医薬品であり、医師の処方が必要です。市販薬(OTC)としては販売されていません。
Q. GLP-1ダイエットは保険適用になりますか?
肥満症に対して保険適用となるGLP-1関連薬は、ウゴービ(セマグルチド)とゼップバウンド(チルゼパチド、2025年3月保険適用)です。ウゴービはBMI 27以上で合併症がある場合、またはBMI 35以上の場合に限られます。オゼンピックやマンジャロ、サクセンダなど、これら2剤とは別製品のGLP-1薬を肥満目的で使用する場合は自由診療(保険適用外)となります。
Q. 漢方薬で痩せられますか?
防風通聖散や防已黄耆湯などの漢方薬は、体質に応じて肥満に関連する症状の改善目的で処方されることがあります。ただし、西洋薬と比較して体重減少の大規模臨床試験データは限定的です。漢方薬の使用を検討する際は、医師に相談してください。
Q. 肥満症治療薬の副作用にはどのようなものがありますか?
薬剤によって異なります。GLP-1受容体作動薬では悪心・嘔吐・下痢などの消化器症状、マジンドールでは口渇・不眠・依存性、セチリスタットでは脂肪便、SGLT2阻害薬では尿路感染症や脱水などが報告されています。いずれも医師の管理下で使用し、異常を感じたら速やかに相談してください。
Q. 肥満症治療薬はどれくらいの期間服用しますか?
薬剤により異なります。マジンドール(サノレックス)は原則3か月以内、ウゴービは医師の判断により継続的に使用されます。いずれも定期的な診察を受けながら、医師と相談のうえ治療期間を決定してください。
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免責事項
- 本記事は医療情報の提供を目的としたものであり、特定の治療法を推奨するものではありません。
- 薬剤の使用にあたっては、必ず医師・薬剤師にご相談ください。
- 記載内容は2026年4月時点の情報に基づいています。最新の承認状況・保険適用は変更される場合があります。
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マンジャロ(適応外使用)に関する重要事項
ユアクリで扱うマンジャロ(チルゼパチド)を肥満・ダイエット目的で用いる場合の前提です。
- 痩身(肥満・ダイエット)は国内で承認された効能ではありません(適応外使用)
- 個人輸入ではなく、医師の診察にもとづく国内承認品の個別処方でお渡しします
- 国内には肥満症で承認された医薬品(ウゴービ=セマグルチド、ゼップバウンド=チルゼパチド)が別に存在します
- 諸外国の安全性等の情報は、国内承認薬と同水準に整理されていない場合があります
- 適応外使用のため、医薬品副作用被害救済制度の対象外です
- 主な副作用に吐き気・嘔吐・下痢・便秘などの消化器症状があり、低血糖等のリスクもあります。効果や副作用には個人差があり、医師の診察が前提です