肥満症の治療はオンラインでできる?適応基準と受診の流れ

2026/9/7

肥満症の治療をオンラインで受けたいとお考えの方へ。本記事では、肥満症の定義とBMI基準、日本で承認されている治療薬の適応条件、オンライン診療の流れを解説します。保険適用と自由診療の違い、副作用・禁忌事項も含めて正確にお伝えします。


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肥満症とは?治療が必要なBMIの基準

「肥満」と「肥満症」は異なる概念です。日本肥満学会の定義では、BMI 25以上を「肥満」としていますが、これだけでは治療対象とはなりません。肥満に起因する健康障害(合併症)を有するか、内臓脂肪蓄積がある場合に「肥満症」と診断され、医学的な治療の対象となります。

肥満症治療薬の処方には、さらに具体的なBMI基準が設けられています。

薬剤 BMI基準 その他の条件
ウゴービ皮下注(セマグルチド) BMI 27以上かつ肥満に関連する健康障害を2つ以上有する、またはBMI 35以上 高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかを有する
ゼップバウンド皮下注アテオス(チルゼパチド) BMI 27以上かつ肥満に関連する健康障害を2つ以上有する、またはBMI 35以上 高血圧・脂質異常症・耐糖能障害(2型糖尿病、耐糖能異常等)のいずれかを有する
サノレックス(マジンドール) BMI 35以上(高度肥満症)等 食事・運動療法の効果が不十分

いずれの薬剤も、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られない場合に処方が検討されます。「少し体重を落としたい」という程度では、薬物治療の適応にはなりません。123


肥満症治療に使われる薬剤と日本での承認状況

ウゴービ皮下注(セマグルチド):保険適用あり

ウゴービ皮下注は、GLP-1受容体作動薬の一種で、2023年3月27日に日本で肥満症を効能・効果として製造販売承認されました。薬価収載は2023年11月22日、発売は2024年2月22日です。週1回の皮下注射で、食欲抑制・満腹感の促進に関与します。なお2026年6月19日には、肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)の適応が追加されており、現在の効能・効果は肥満症だけではありません。1

保険適用の条件:
– 高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のいずれかを有する
– 食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られない
– BMI 27以上かつ肥満に関連する健康障害を2つ以上有する、またはBMI 35以上

上記の条件をすべて満たす場合に保険適用となります。条件を満たさない場合は自由診療での処方となります。

ゼップバウンド皮下注アテオス(チルゼパチド):保険適用あり

ゼップバウンドは、GLP-1受容体とGIP受容体の両方に作用するデュアルアゴニストで、2024年12月27日に日本で肥満症を効能・効果として製造販売承認されました。薬価収載は2025年3月19日、発売は2025年4月11日です。さらに2026年5月18日に、中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(BMI 27以上に該当する場合に限る)の適応が追加され、あわせて肥満症側の対象が耐糖能障害(2型糖尿病、耐糖能異常等)を有する場合へ広がりました。3

保険適用の条件:
– 高血圧、脂質異常症、耐糖能障害(2型糖尿病、耐糖能異常等)のいずれかを有する
– 食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られない
– BMI 27以上かつ肥満に関連する健康障害を2つ以上有する、またはBMI 35以上

ゼップバウンドは、後述するマンジャロと同じチルゼパチドを有効成分としますが、日本ではそれぞれ別の製品として別個に承認されています。

サノレックス(マジンドール):保険適用あり

サノレックスは、食欲中枢に作用して食欲を抑制する中枢性食欲抑制薬です(GLP-1受容体作動薬ではありません)。適応は高度肥満症(肥満度+70%以上またはBMI 35以上)における食事療法・運動療法の補助に限られ、ウゴービ・ゼップバウンドの「肥満症」とは適応名が異なります。2

ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 投与期間は原則3ヶ月以内に制限されています
  • アンフェタミン類縁体であり、依存性があるため慎重投与が必要です
  • BMI 35以上の高度肥満症等が主な適応です

マンジャロ(チルゼパチド):肥満症には適応外

マンジャロ(チルゼパチド)は、GLP-1とGIPの2つの受容体に作用する薬剤(デュアルアゴニスト)です。2022年9月26日に日本で2型糖尿病の治療薬として承認された医薬品であり、肥満症の適応は取得していません。体重減少を目的とした使用は適応外(off-label)となり、公的医療保険は適用されず自由診療にあたります。4

自由診療のオンラインクリニックでメディカルダイエット目的に処方されるケースがありますが、日本において肥満症の適応では承認されていない点を正しく理解しておく必要があります。同じチルゼパチドを有効成分とするゼップバウンドが肥満症の適応を持つことは、マンジャロの適応外使用が承認された使い方であることを意味しません。


肥満症のオンライン治療は可能?対面診療との違い

肥満症の治療は、オンライン診療でも受けられます。ただし、いくつかの重要な違いと制約があります。

項目 オンライン診療 対面診療
診察方法 ビデオ通話 来院
血液検査 その場では不可(別途必要) その場で実施可能
触診・身体測定 不可 実施可能
薬の受け取り 配送(自宅に届く) 院内処方または薬局
通院の手間 不要 必要

保険適用と自由診療の違いも重要です。

  • 保険診療:ウゴービ・ゼップバウンド・サノレックスの保険処方は、基本的に対面診療が求められるケースが多いです。BMI測定や血液検査等の対面での評価が必要となります
  • 自由診療:オンライン診療でも、肥満症治療薬の処方を受けられます。ただし、費用は全額自己負担となります

オンライン診療は利便性が高い反面、触診や血液検査がその場でできない制約があります。クリニックによっては、定期的に血液検査の結果の提出を求める場合があります。


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オンライン診療で肥満症治療を受ける流れ【5ステップ】

STEP 1:クリニック選び・予約

肥満症治療のオンライン診療に対応しているクリニックを選びます。以下のポイントを確認してください。

  • 医師が在籍しているか:医師免許を持つ医師が診察を担当するか
  • 取り扱い薬剤:希望する薬剤(ウゴービ、ゼップバウンド、マンジャロ等)を扱っているか
  • 料金体系の透明性:診察料・薬剤費・送料が明示されているか
  • アフターフォロー体制:副作用発現時の相談窓口があるか

予約はWebサイトやアプリから行います。

STEP 2:問診票の入力・事前準備

予約後、オンライン問診票への回答を求められます。主に以下の内容を聞かれます。

  • 身長・体重(BMI算出のため)
  • 現在の持病・既往歴
  • 服用中の薬
  • アレルギーの有無
  • 食事療法・運動療法の実施状況
  • 妊娠中・授乳中でないか

事前に準備しておくとよいもの:

  • 健康診断の結果(直近のもの)
  • お薬手帳(服用中の薬がある場合)

STEP 3:オンライン診察(ビデオ通話)

予約日時にビデオ通話で医師の診察を受けます。診察時間は10〜15分程度が一般的です。

医師は以下を確認します。

  1. 問診票の内容確認・補足質問
  2. BMI基準を満たしているかの確認
  3. 禁忌事項に該当しないかの確認
  4. 処方する薬剤と用量の説明
  5. 副作用・注意事項の説明

禁忌に該当する場合や、薬物治療が適切でないと判断された場合は、処方されないことがあります。

STEP 4:処方・決済

医師が処方を決定したら、薬剤の種類・用量・投与スケジュールが確定します。オンラインクリニックでは、クレジットカード等での決済が一般的です。

STEP 5:薬の受け取り・治療開始

決済完了後、薬剤が自宅に配送されます。届くまでの日数はクリニックにより異なりますが、通常2〜5日程度です。

注射薬(ウゴービ等)の場合は、自己注射の方法について事前に説明を受けます。不明点があれば、次回の診察時やクリニックの相談窓口に問い合わせてください。


肥満症治療薬の副作用と禁忌事項

肥満症治療薬には、いずれも副作用と禁忌事項があります。オンライン診療であっても、これらの確認は必ず行われます。ゼップバウンド(チルゼパチド)についても、消化器症状などの副作用と、甲状腺髄様癌の既往歴・家族歴や多発性内分泌腫瘍症2型などの禁忌が添付文書に定められています。3

ウゴービ皮下注の主な副作用1

  • 消化器症状:悪心、嘔吐、下痢、便秘(特に投与初期に多い)
  • 低血糖:糖尿病治療薬との併用時にリスクが上がります
  • 急性膵炎
  • 胆嚢関連事象:胆石症、胆嚢炎
  • 自殺念慮:海外の市販後報告あり(因果関係は確立されていません)

ウゴービ皮下注の禁忌1

以下に該当する方には処方できません。

  • 甲状腺髄様癌の既往歴・家族歴がある方
  • 多発性内分泌腫瘍症2型の方
  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴がある方
  • 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡・前昏睡の方
  • 重度の胃不全麻痺等の重篤な胃腸障害がある方

サノレックスの禁忌2

  • 緑内障の方
  • 重症の心臓障害、膵臓障害、腎臓障害、肝臓障害のある方
  • MAO阻害薬を服用中の方
  • 薬物・アルコール乱用歴のある方

副作用が疑われる症状が出た場合は、速やかに処方医に相談してください。


保険適用と自由診療の違い|費用の考え方

肥満症治療における保険適用と自由診療の違いを整理します。

項目 保険診療 自由診療
対象薬剤 ウゴービ、ゼップバウンド、サノレックス マンジャロ等(適応外使用含む)
BMI条件 ウゴービ・ゼップバウンド:27以上(かつ健康障害2つ以上)または35以上、サノレックス:35以上等 クリニックにより異なる
合併症条件 あり(高血圧・脂質異常症・2型糖尿病・耐糖能異常等) なしの場合が多い
自己負担割合 1〜3割 全額自己負担
診療形態 対面が基本 オンライン対応が多い

保険適用を受けるには、ウゴービ・ゼップバウンドの場合はBMI 27以上かつ肥満に関連する健康障害を2つ以上有する(またはBMI 35以上)ことに加え、合併症条件を満たし、食事療法・運動療法で効果不十分であることが必要です。サノレックスの場合は高度肥満症(BMI 35以上等)の条件があります。123

これらの条件を満たさない場合でも、自由診療であれば医師の判断のもとで処方を受けられる場合があります。ただし、費用は全額自己負担となり、薬剤費も保険価格より高くなる傾向があります。


よくある質問(FAQ)

Q. 肥満症の治療薬はオンライン診療で処方してもらえますか?

はい、自由診療のオンラインクリニックでは、医師の診察を経て肥満症治療薬の処方を受けられます。ただし、保険適用での処方は対面診療が基本となるケースが多いです。

Q. BMIがいくつ以上なら肥満症の薬を使えますか?

保険適用の場合、ウゴービ皮下注・ゼップバウンド皮下注アテオスはBMI 27以上かつ肥満に関連する健康障害を2つ以上有する、またはBMI 35以上で、いずれも合併症条件を満たすことが必要です。サノレックスは高度肥満症(BMI 35以上等)が対象です。自由診療の場合は、クリニックや医師の判断により基準が異なります。123

Q. マンジャロは肥満症の治療に使えますか?

マンジャロ(チルゼパチド)は、日本では2型糖尿病の治療薬として承認されています。肥満症の適応は取得しておらず、体重減少を目的とした使用は適応外(off-label)です。自由診療で処方されるケースはありますが、肥満症の適応では承認されていないことを理解したうえで検討してください。なお、同じチルゼパチドを有効成分とするゼップバウンドは肥満症で承認されていますが、日本では別製品として別個に承認されたものであり、マンジャロの適応外使用を正当化するものではありません。34

Q. オンライン診療で処方された薬は保険適用になりますか?

オンラインクリニックでの自由診療は全額自己負担です。保険適用を希望する場合は、BMI基準・合併症条件を満たしたうえで、保険診療に対応した医療機関を受診する必要があります。

Q. 肥満症治療のオンライン診療で注意すべきことは何ですか?

血液検査や触診がオンラインでは行えないため、定期的な健康チェックを別途受けることが重要です。また、個人輸入による薬の入手は品質・安全性のリスクがあるため避けてください。必ず医師の診察を受けたうえで処方を受けてください。


まとめ

肥満症の治療は、オンライン診療でも受けられます。ただし、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 肥満症の薬物治療にはBMI基準がある:ウゴービ・ゼップバウンドはBMI 27以上かつ健康障害2つ以上(またはBMI 35以上)+合併症、サノレックスはBMI 35以上等
  • 日本で肥満症を効能・効果として承認されている医薬品はウゴービ(セマグルチド)とゼップバウンド(チルゼパチド)。サノレックスは高度肥満症が適応。マンジャロは肥満症には適応外(off-label)
  • 保険適用には条件がある:条件を満たさない場合は自由診療(全額自己負担)
  • オンライン診療は便利だが制約もある:血液検査や触診はできない
  • 副作用・禁忌事項を必ず確認:医師の診察を受けたうえで処方を受ける

肥満症は放置すると、高血圧・糖尿病・脂質異常症などのリスクを高める疾患です。治療を検討されている方は、まずは医師に相談してみてください。


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脚注

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マンジャロ(適応外使用)に関する重要事項

ユアクリで扱うマンジャロ(チルゼパチド)を肥満・ダイエット目的で用いる場合の前提です。

  • 痩身(肥満・ダイエット)は国内で承認された効能ではありません(適応外使用)
  • 個人輸入ではなく、医師の診察にもとづく国内承認品の個別処方でお渡しします
  • 国内には肥満症で承認された医薬品(ウゴービ=セマグルチド、ゼップバウンド=チルゼパチド)が別に存在します
  • 諸外国の安全性等の情報は、国内承認薬と同水準に整理されていない場合があります
  • 適応外使用のため、医薬品副作用被害救済制度の対象外です
  • 主な副作用に吐き気・嘔吐・下痢・便秘などの消化器症状があり、低血糖等のリスクもあります。効果や副作用には個人差があり、医師の診察が前提です

参考文献


  1. PMDA ウゴービ皮下注(セマグルチド(遺伝子組換え))添付文書・承認情報。製造販売承認 2023年3月27日/薬価収載 2023年11月22日/発売 2024年2月22日。2026年6月19日に肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)の効能追加。 ↩↩↩↩↩↩

  2. PMDA サノレックス錠0.5mg(マジンドール)添付文書 ※効能・効果は高度肥満症における食事療法・運動療法の補助。投与期間は3ヵ月が限度。第三種向精神薬・習慣性医薬品・劇薬。 ↩↩↩↩↩

  3. PMDA ゼップバウンド皮下注アテオス(チルゼパチド)添付文書・承認情報。製造販売承認 2024年12月27日/薬価収載 2025年3月19日/発売 2025年4月11日。2026年5月18日に中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の効能追加、および肥満症の対象へ耐糖能障害(2型糖尿病、耐糖能異常等)を追加。 ↩↩↩↩↩↩

  4. PMDA マンジャロ皮下注アテオス(チルゼパチド)添付文書・承認情報。製造販売承認 2022年9月26日。※日本での承認適応は2型糖尿病のみ。肥満症は適応外。 ↩↩

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