BMI27以上は治療の対象?肥満症の診断基準と治療開始の目安

2026/9/7

BMI 27以上で肥満症の薬物治療が検討されるケースを解説します。日本で肥満症を効能・効果として承認されているウゴービ(セマグルチド)とゼップバウンド(チルゼパチド)の適応基準、合併症条件、保険適用と自由診療の違い、副作用・禁忌事項まで、PMDAの承認情報に基づいて正確にお伝えします。


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BMI 27以上は「肥満症」として治療の対象になるのか

「BMI 27以上だと治療が必要?」と気になる方は多いでしょう。BMI 27以上であることだけでは、直ちに薬物治療の対象とはなりません。しかし、BMI 27以上は日本で承認された肥満症治療薬の適応基準の一つであり、治療を検討するうえで重要な数値です。

日本で肥満症を効能・効果として承認されている医薬品は、ウゴービ皮下注(一般名:セマグルチド)とゼップバウンド皮下注アテオス(一般名:チルゼパチド)です。ウゴービは2023年3月27日に製造販売承認を取得し、2023年11月22日に薬価収載、2024年2月22日に発売されました。ゼップバウンドは2024年12月27日に承認、2025年3月19日に薬価収載、2025年4月11日に発売されています。13

いずれも、高血圧・脂質異常症・耐糖能障害などの健康障害を有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られない肥満症の方が対象です。そのうえでBMIの基準は、BMI 27以上であり、かつ2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する場合、またはBMI 35以上の場合に限られます。13

つまり、BMI 27以上は薬物治療を検討する「入口」にはなりますが、それだけで治療が始まるわけではないのです。


肥満症の診断基準|BMIだけでは決まらない

まず「肥満」と「肥満症」の違いを整理しましょう。

  • 肥満:BMI 25以上の状態(日本肥満学会の定義)
  • 肥満症:肥満に起因する健康障害(合併症)を有するか、内臓脂肪蓄積がある場合に診断される疾患

BMI 25以上であっても、健康上の問題がなければ「肥満」であり、必ずしも医学的な治療対象とはなりません。合併症の存在が肥満症の診断と治療開始の鍵となります。

薬物治療が検討される条件

ウゴービ・ゼップバウンドの承認条件を基にすると、薬物治療が検討されるのは以下のすべてを満たす場合です。

  1. BMI 27以上かつ2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する、またはBMI 35以上であること
  2. 高血圧・脂質異常症・2型糖尿病などの健康障害を合併していること(ゼップバウンドでは2026年5月18日以降、2型糖尿病に加えて耐糖能異常等を含む「耐糖能障害」が対象に含まれます)4
  3. 食事療法・運動療法を一定期間行っても十分な効果が得られないこと

この3条件のうち、特に重要なのは「食事療法・運動療法が先行すること」です。生活習慣の改善は肥満症治療の基本であり、薬物治療はこれらを補助する位置づけです。13


BMI 27以上で使える治療薬|ウゴービとゼップバウンドの承認条件

ウゴービ皮下注とは

ウゴービ皮下注は、GLP-1受容体作動薬の一種であるセマグルチド(遺伝子組換え)を有効成分とする肥満症治療薬です。週1回の皮下注射で投与され、食欲抑制・満腹感の促進を通じて体重減少を助けます。1

なお、ウゴービの効能・効果は肥満症だけではありません。2026年6月19日に、肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH/中等度又は高度の線維化を有する場合に限る)の適応が追加されています。5

また、同じセマグルチドを有効成分とする薬剤にオゼンピックがありますが、こちらは2型糖尿病治療薬として承認されたものであり、適応と用量が異なります。1

ゼップバウンド皮下注アテオスとは

ゼップバウンド皮下注アテオスは、チルゼパチドを有効成分とする肥満症治療薬です。チルゼパチドはGLP-1受容体とGIP受容体の両方に作用するデュアルアゴニストで、こちらも週1回の皮下注射で投与します。2024年12月27日に製造販売承認を取得し、2025年3月19日に薬価収載、2025年4月11日に発売されました。3

2026年5月18日には、中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(BMI 27以上に該当する場合に限る)の適応が追加され、あわせて肥満症の対象が耐糖能障害(2型糖尿病、耐糖能異常等)を有する場合へ広がりました。4

保険適用の条件

ウゴービ・ゼップバウンドの保険適用には、以下の条件をすべて満たす必要があります。

条件 ウゴービ ゼップバウンド
BMI 27以上かつ2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する、または35以上 同左
合併症 高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれか 高血圧・脂質異常症・耐糖能障害(2型糖尿病、耐糖能異常等)のいずれか
先行治療 食事療法・運動療法で効果不十分 同左

これらの条件を満たさない場合でも、自由診療(全額自己負担)での処方が行われるケースがありますが、保険は適用されません。13


マンジャロ(チルゼパチド)は肥満症に使えるのか

メディカルダイエットの文脈でよく名前が挙がるマンジャロ(一般名:チルゼパチド)についても触れておきます。

マンジャロは2022年9月26日に2型糖尿病の治療薬として国内承認された医薬品であり、肥満症の適応は取得していません。体重減少を目的として用いる場合は適応外(off-label)使用となります。

自由診療のオンラインクリニック等でダイエット目的に処方されるケースがあります。しかし、マンジャロという製剤自体は日本において肥満症の適応では承認されていない点を正しく理解しておくことが重要です。同じ有効成分のチルゼパチドは、肥満症治療薬「ゼップバウンド皮下注アテオス」として日本でも別製品として承認されており、2024年12月27日に製造販売承認、2025年3月19日に薬価収載(保険適用)、同年4月11日に発売されています。3 ただしゼップバウンドとマンジャロは日本ではそれぞれ別の製品として別個に承認されているため、ゼップバウンドが肥満症の適応を持つことは、マンジャロを肥満症目的で使うことが承認された使い方であることを意味しません。マンジャロを肥満症目的で使用する場合は引き続き適応外使用であり、公的医療保険は適用されず自由診療となります。

適応外使用を検討する場合は、リスクと効果について医師と十分に相談してください。


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肥満症治療の基本は生活習慣の改善

薬物治療に注目が集まりがちですが、肥満症治療の第一歩は食事療法と運動療法です。

薬物治療はあくまで生活習慣の改善では効果が不十分な場合の補助的手段です。ウゴービの承認条件にも「食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られない場合」と明記されています。1

近年の研究では、テクノロジーを活用した生活習慣介入(アプリやオンラインプログラム等)が体重減少に一定の効果を示すことも報告されています。※エビデンス限定的(海外のメタアナリシスに基づく)2

まずは食事内容の見直しと適度な運動から始め、それでも改善が見られない場合に医師と薬物治療の必要性を相談するのが望ましい流れです。


ウゴービの副作用と禁忌|知っておくべきリスク

主な副作用

ウゴービの使用にあたっては、以下の副作用に注意が必要です。1

  • 消化器症状:悪心(吐き気)・嘔吐・下痢等(特に投与初期に出現しやすい)
  • 低血糖:糖尿病治療薬との併用時にリスクが高まる
  • 急性膵炎
  • 胆嚢関連事象:胆石症・胆嚢炎

消化器症状は最も頻度が高い副作用ですが、段階的な増量により軽減が期待されます。

禁忌(使用できない方)

以下に該当する方はウゴービを使用できません。1

  • 甲状腺髄様癌の既往歴または家族歴がある方
  • 多発性内分泌腫瘍症2型の方
  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴がある方
  • 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡・前昏睡の方
  • 重度の胃不全麻痺等の重篤な胃腸障害がある方

その他の注意事項

  • 甲状腺髄様癌:動物実験での発生報告あり(ヒトでの因果関係は不明)1
  • 自殺念慮:海外の市販後報告あり(因果関係は確立されていない)1

これらの情報は添付文書に記載されている注意事項です。治療開始前に医師から十分な説明を受けてください。


保険適用と自由診療の違い

BMI 27以上の肥満症治療において、保険適用と自由診療の違いを理解しておくことは重要です。

項目 保険適用 自由診療
対象薬剤 ウゴービ皮下注・ゼップバウンド皮下注アテオス(条件あり) 各クリニックの取扱薬剤
BMI基準 27以上かつ2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する、または35以上 クリニックにより異なる
合併症条件 必須(高血圧・脂質異常症・2型糖尿病または耐糖能障害のいずれか) 不要な場合が多い
先行治療 食事・運動療法が必須 クリニックにより異なる
費用負担 1-3割負担 全額自己負担

保険診療では、ウゴービ・ゼップバウンドの処方にはBMIの基準を満たし、かつ合併症を有していることが必要で、食事療法・運動療法の先行実施も条件となります。13

自由診療では、保険適用の条件を満たさない場合でも医師の判断により処方が可能ですが、費用は全額自己負担となります。また、適応外使用の薬剤が処方されるケースもあるため、何の薬をなぜ使うのか、医師に十分に確認することが大切です。


まとめ|BMI 27以上で気になる方は医師に相談を

BMI 27以上は、日本で肥満症を効能・効果として承認されている医薬品(ウゴービ・ゼップバウンド)の適応基準の一つです。ただし、BMIの数値だけで治療が決まるわけではありません。

治療開始のポイント:

  • BMI 27以上かつ2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する、またはBMI 35以上であること
  • 高血圧・脂質異常症・2型糖尿病または耐糖能障害のいずれかを合併していること
  • 食事療法・運動療法を行っても十分な改善が見られないこと

これらの条件を踏まえたうえで、医師と相談しながら治療方針を決めることが重要です。「BMI 27以上だから治療が必要」と自己判断するのではなく、まずはかかりつけ医や肥満症を専門とする医療機関に相談してください。


よくある質問(FAQ)

BMI 27以上なら必ず薬物治療を受けられますか?

BMI 27以上だけでは薬物治療の対象にはなりません。高血圧・脂質異常症・2型糖尿病または耐糖能障害のいずれかの合併があり、かつ食事療法・運動療法で十分な効果が得られない場合に、ウゴービやゼップバウンドの処方が検討されます。なおBMIの基準は、27以上かつ2つ以上の肥満に関連する健康障害を有すること、または35以上です。13

ウゴービとオゼンピックの違いは何ですか?

どちらも有効成分はセマグルチドですが、ウゴービは肥満症治療薬、オゼンピックは2型糖尿病治療薬として承認されており、適応と用量が異なります。1

マンジャロ(チルゼパチド)で痩せることはできますか?

マンジャロは日本では2型糖尿病治療薬としてのみ承認されており、肥満症・ダイエット目的での使用は適応外(off-label)です。自由診療で処方されるケースはありますが、保険適用外であることを理解した上で、医師とよく相談してください。

BMI 25と27の違いは何ですか?治療の基準が異なるのですか?

BMI 25以上は日本肥満学会の定義で「肥満」に該当しますが、肥満症治療薬(ウゴービ・ゼップバウンド)の承認上の基準は、BMI 27以上かつ2つ以上の肥満に関連する健康障害を有すること、またはBMI 35以上です。BMI 25-27未満の方は、まず食事・運動療法による体重管理が推奨されます。

肥満症の治療に保険は使えますか?

ウゴービ皮下注・ゼップバウンド皮下注アテオスは、BMIの基準と合併症条件を満たし、食事・運動療法で効果不十分な場合に保険適用となります(合併症条件は、ウゴービが高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれか、ゼップバウンドが高血圧・脂質異常症・耐糖能障害のいずれかです)。条件を満たさない場合は自由診療(全額自己負担)となります。134


免責事項

  • この記事は医療情報の提供を目的としたものであり、特定の治療法を推奨するものではありません。治療の判断は必ず医師にご相談ください。
  • マンジャロ(チルゼパチド)は日本では2型糖尿病治療薬として承認されており、肥満症への使用は適応外です。
  • 記事の内容は公開時点のものであり、承認状況・保険適用は変更される場合があります。最新情報はPMDA等の公式情報をご確認ください。

出典

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マンジャロ(適応外使用)に関する重要事項

ユアクリで扱うマンジャロ(チルゼパチド)を肥満・ダイエット目的で用いる場合の前提です。

  • 痩身(肥満・ダイエット)は国内で承認された効能ではありません(適応外使用)
  • 個人輸入ではなく、医師の診察にもとづく国内承認品の個別処方でお渡しします
  • 国内には肥満症で承認された医薬品(ウゴービ=セマグルチド、ゼップバウンド=チルゼパチド)が別に存在します
  • 諸外国の安全性等の情報は、国内承認薬と同水準に整理されていない場合があります
  • 適応外使用のため、医薬品副作用被害救済制度の対象外です
  • 主な副作用に吐き気・嘔吐・下痢・便秘などの消化器症状があり、低血糖等のリスクもあります。効果や副作用には個人差があり、医師の診察が前提です

参考文献


  1. PMDA「ウゴービ皮下注(セマグルチド(遺伝子組換え))添付文書・承認情報」(製造販売承認:2023年3月27日/薬価収載:2023年11月22日/発売:2024年2月22日) https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/2499418G5023_1 ↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩↩

  2. PubMed「Technology-Based Interventions for Prevention of Type 2 Diabetes Following Gestational Diabetes: Systematic Review and Meta-Analysis」(2026) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41921207/ ↩

  3. 田辺ファーマ(ゼップバウンド皮下注アテオス 製造販売元)ニュースリリース(製造販売承認:2024年12月27日/薬価基準収載:2025年3月19日/発売:2025年4月11日) https://www.tanabe-pharma.com/ja/news/MTPC250319.html ↩↩↩↩↩↩↩↩↩

  4. 田辺ファーマ ニュースリリース(2026年5月18日 効能・効果の追加:中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の追加、および肥満症の対象への耐糖能障害(2型糖尿病、耐糖能異常等)の追加) https://www.tanabe-pharma.com/ja/news/rel_260601_2.html ↩↩↩

  5. ノボ ノルディスク ファーマ ニュースリリース(2026年6月19日 ウゴービ皮下注の効能・効果追加:肝硬変を伴わない代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)) https://www.novonordisk.co.jp/news/media/2026/06/20260619_1.html ↩

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